親族が亡くなったときに発生する遺産相続。核家族化が進み、別居の家族の財産を把握している人は多くありません。また親族間の相続トラブルは増加しており、家庭裁判所での相続関係の相談件数は、平成4年から平成22年までの間に約3倍に。(最高裁司法統計年報)
そこで今回は遺品整理のプロが、法律も踏まえつつスムーズな遺品整理の方法を解説します。
この記事の監修者 | |
木戸口司法書士事務所 代表 木戸口 太志 https://isansouzoku-osaka.com/ |
相続するか、相続放棄するのか
遺産相続はマイナスの財産も相続することになります。
まずは故人の財産を把握し、相続するのか相続放棄するのかを判断しましょう。
不動産や預貯金などの財産を調査する
まずは被相続人の預貯金口座からお金の流れを調査しましょう。
口座を見れば、財産の多くを占める不動産と預貯金を確認できます。固定資産税の引き落としがされていれば不動産と管轄地域を把握でき、株式の配当があれば株を保有していることが分かります。預金通帳やキャッシュカードには銀行の支店が記載されているので、解約手続きの際に役立つでしょう。ローンの支払いなども確認することができます。
次に遺品を仕分けしながら郵便物を調査します。
固定資産税の通知書があれば、預金通帳がなくても不動産を保有していたことが判明します。また、有価証券やクレジットカードなどの貴重品・貴金属・ブランド品などの価値が付くものと、そうでないものを分類しましょう。
そして集めた情報を整理します。
固定資産税通知書から登記簿謄本(登記事項証明書)を取得したり、金融機関の情報を整理したりして財産を把握し、相続するのかどうか判断しましょう。
相続or相続放棄は3か月以内に判断しないといけない
民法第915条により、相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に相続か相続放棄の判断をしなければなりません。
相続の方法は、単純承認、限定承認、相続放棄の3つです。
単純承認とはプラスとマイナスのすべての財産を相続することであり、3ヶ月何もしなかった場合は、単純承認したとみなされます。
加えて、マイナスの財産を引いてプラスになったら相続する限定承認と、一切の財産を相続しない相続放棄という方法があります。
遺品整理は、民法921条1項に該当し、単純承認が成立する恐れがあるため、相続放棄を考えているならむやみに遺品に触れないようにしましょう。
”民法921条1項 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは単純承認をしたものとみなす”
相続に関わる遺品整理で注意したいこと
遺品整理をしようとしても、誰が、いつするのかなど分からないことだらけでしょう。やり方を間違えるとトラブルに発展する恐れもあります。遺族と故人にとって、より良い遺品整理をするために注意しなければならないことを紹介します。
遺品整理は相続人が行うのが一般的
遺品整理は子どもや親などの法定相続人が行うのが一般的です。
法定相続人でなくても、賃貸の連帯保証人だった場合は遺品整理の義務が生じます。
連帯保証人は、契約した故人と同一の義務が発生しますので、賃貸の原状回復義務が生じ、修繕費用を負担しなければなりません。
賃貸を使用しないのであれば、賃貸契約の解約手続きも行うことになるでしょう。
また相続放棄などで相続人がいない場合は相続財産管理人を選定し、その人が遺品整理することもあります。
整理費用は基本的に遺産を相続した人が払う
遺品整理費用は故人の財産からではなく、遺産を相続した人が払います。整理費用には遺品の処分、専門業者への依頼費用などが挙げられます。
法定相続人が複数いる場合は費用を分担することになりますが、その際は法定相続分に応じた割合でなければ公平さを保てません。相続分の割合が1/4の人も、1/2の相続分を持つ人と同じ額を払わなければならないためです。
相続財産から支払う方法もありますが、預貯金は相続手続きが完了した後でなければ動かすことができません。
そのため、相続人が法定相続分の割合で払う方法がより良いといえるでしょう。
遺品整理はいつするのか
遺品整理の時期に正解はありませんが、一般的には「四十九日後、諸手続きの完了後、葬儀後、相続前」といわれています。親族が多く集まるため、相続や遺品整理について話しやすいからです。また亡くなった直後は死亡届や年金、銀行の手続きなどに追われ、遺品整理の時間がとれないことも理由の一つです。
あくまで目安なので、自分の気持ちに整理がついたタイミングで行うといいでしょう。ただし、故人が賃貸に住んでいた場合は賃貸契約が継続しており、遺品整理が遅くなると支払う家賃も高くなるので、注意しましょう。
遺品整理で残すべきもの
遺品整理で残すべき主なものは以下の通りです。
・遺言書
・現金・通帳
・土地の権利書
・身分証明書・印鑑
・売却価値があるもの
・カギ
・借用書やローンの明細
売却価値のあるものは、勲章、フィギュア、家電製品などです。遺品の量が多いと時間がかかるため、一般的に残すべき以外の品の扱いは相続人で相談しておきましょう。アルバムや写真はそのまま保管するのか、データ化するのか、個人的に判断できない遺品の保管場所などを決めておくとスムーズに整理できるでしょう。
残すかどうか迷った遺品は保管しておくのがおすすめです。価値の分からないものも保管しておけば、値が付いた場合に高く売却できます。所有者不明の遺品も持ち主が判明したときに渡せるので、迷ったものはひとまず保管しておきましょう。
また、別居する親族がもし借金を残して死亡した場合、遺族がそれを知らないことも多々あります。遺産相続をすると負の財産も相続することになるため、郵便物などに借用書やローンの明細が混ざっていないか注意して見なければなりません。
賃貸と持ち家での遺品整理の違い
賃貸物件に住んでいた場合は賃貸借契約を確認し、解約や退去日、家賃などを把握しましょう。
故人が亡くなっても賃貸借契約は解約されないため、遺品整理が遅れると退去するまでの間に家賃が発生します。退去日より前に退去することになれば違約金も必要です。
また入居時の状態に戻す原状回復義務も負うため、家具の処分や修理、特殊清掃しなければならないこともあります。
遺品整理や清掃はかなりの時間を要することもあるので、全体的なコストを抑えたい場合は遺品整理業者を利用するのも1つの手です。
持ち家の場合は、時間を気にすることなく遺品整理ができます。
ただし住宅ローンが残っていて家に住む予定がない場合は、早めに売却してローンと相殺した方がいいでしょう。放置すると老朽化してボロボロになりやすくなるため、なるべく早めに遺品整理を終わらせるのが賢明です。
売却or保有?不動産を相続した場合
相続した不動産を利用しない場合、売却するのが最善の方法といえるでしょう。大事な遺産だからと保有しているだけでも、固定資産税や火災保険料などのコストがかかります。
空き家を保有するデメリット
不動産を相続すると以下のデメリットが生じます。
・管理責任義務が発生
・固定資産税がかかる
・修繕費がかかる
・災害
・老朽化による価値の下落
・不審火・放火のリスク
不動産を相続すると、管理責任義務が発生します。管理の程度は具体的に決められていませんが、建物の老朽化を防いだり火災対策をしたりといった対応が求められるでしょう。
相続を放棄した者も一時的に管理責任義務を負わなければなりません。民法940条に以下の条文があるためです。
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
固定資産税や火災保険料も払わなければならないため、住む予定がないのなら大きな負担になります。管理が不十分で空き家となっている場合には「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、一般の住宅用地より固定資産税の負担が増える可能性もあります。
さらに老朽化による資産価値の低下や、火災時に周辺住民に損害を与えてしまうなどのデメリットを踏まえて、保有か売却を決めましょう。
空き家になるなら売却がベスト
相続した不動産に住む予定がない・活用する予定がない場合、売却するのが一番良いでしょう。
売却して得た現金は遺品整理の費用に充てられ、残った分は相続人で分配できます。固定資産税や修繕費、災害のリスクがなくなることも大きなメリットです。
賃貸に出したり住居として使ったりすることもできますが、修繕費やリフォーム代が必要で、維持費の負担も大きくなります。
空き家売却時には税金が優遇される制度もあります。「空き家売却時の特例」では、空き家の売却にかかる譲渡所得を最高3,000万円控除できるので、通常の不動産売却時より軽い税負担で住むでしょう。
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遺品整理は専門業者に依頼しよう
遺品整理は相続人の予定が合わなかったり、遺品が多かったりするので遺族だけで対処するのは難しいです。遺品整理業者に依頼すれば短時間で整理でき、故人とのお別れができるでしょう。
遺品整理業者が提供できるサービス
遺品整理専門業者が提供できる主なサービスは「仕分け、処分、清掃、形見分け、遺品の供養」です。不用品回収業者と異なり、遺品の仕分けや供養できる点が特徴です。
遺品整理は必要なものとそうでないものを仕分ける作業に時間がかかりますが、専門業者に依頼すれば短時間で仕分けできます。また遺品が大量にある場合も親族と相談しながら丁寧に整理していくので、安心して任せられるでしょう。
もちろん不用品の処分、買取もできます。オプションになることが多いですが、ハウスクリーニングや仏壇処分などに対応している業者もあります。
賃貸で早く退去する必要がある、自分だけでは整理できないという場合に便利なサービスです。
不動産も買取できる関西クリーンサービスがおすすめ
関西クリーンサービスは、関西での遺品整理取扱件数No.1。(東京商工リサーチ2019年~2022年の4年連続)遺品整理士認定協会より優良事業者の認定も受けています。
残すものや処分するものの仕分けを自分で行おうとすると大変な作業となりますが、遺品取り扱いの専門家である遺品整理士が在籍しているため、プロの視点からお一人おひとりのお困りごとに真摯に、そして迅速に対応させていただきます。
また、不動産の買取サービスも行っており、遺品整理と合わせて相続した不動産を処分したいご依頼主様のご要望にスピーディーにお応えすることが可能です。さらに司法書士や行政書士、税理士と連携しているので、法的手続きも安心してご相談ください。
大阪、奈良、京都全域のご相談にお電話での見積もりから出張査定まで無料で承っております。何から手を付けていいか分からない方もまずはご連絡ください。
関西クリーンサービスへ寄せられた実際の遺品整理のご相談例
相続のお困りごとを抱えた遺品整理のご相談は多く寄せられます。そこで、弊社でご相談があった遺品整理の事例を2つ紹介します。
実例①:相続放棄も検討しているが賃貸の連帯保証人になっていた
2DKの賃貸マンションで一人暮らしをされていたご家族の遺品整理のご相談です。他の相続人さまはご高齢のため遺品整理が難しく、ご依頼主さまが連帯保証人になっているため遺品整理をしなければいけないとのことですが、借金を抱えているかもしれず相続するかどうするかを悩んでおられました。
「相続する権利を放棄すること」と「連帯保証人としての義務がなくなること」は別の問題であり、相続放棄をしても部屋を片づける義務があります。
貴金属、現金、預金、証券などはもちろん、換金できるもの、資産価値があるもの、借用書やローンの明細があるかどうか、お見積り時にもご依頼主様とご遺品を確認しながら遺品整理をご提案させていただいたうえで、ご依頼主様は結果的に相続放棄を決断をされました。
相続財産になる現金や貴重品、重要書類などは、相続放棄をしていない相続人さまへお渡しさせていただきました。
実例②:空き家になる家を相続。売却までをご相談。
ご自宅でお姉さまを亡くした70代の女性からのご相談です。
建物は大阪のとある下町にある一戸建てです。故人は生涯独身で依頼主の女性の他に身寄りが無かったため、全てを相続されました。
しかし不動産を相続しても住む予定はないとのことで、故人の死後様々な手続きに追われる中、住む予定のない空き家を所有するとこに大変な不安を抱えていらっしゃいました。
そこで、遺品整理から不動産売買を一貫して請け負っている弊社へ不動産買取までを承る形で、遺品整理のご依頼をいただくことになりました。
遺品整理においては、貴重品類をお探しだったのはもちろんですが、お姉さまの思い出の写真もお探しになっていました。しかしその写真がどこにあるのか検討もつかないとのことです。
遺品整理のご依頼では「どこにあるのかわからないけれど探してほしい物がある」というご相談も多くあります。特に相続に関わる貴重品や重要書類は普段は目につかない場所に保管されていることもあり、タンスに保管されている書類一枚を見落とさず、封筒の中、衣類のポケットに至るまで探索します。
今回はお探しの写真や不動産の書類など無事に発見することができ、依頼主様にも笑顔が戻ってきました。
遺品整理を終えるとすぐ相続登記の手続きに入り、お問合せから数か月で不動産売買まで完了することができました。
まとめ|相続にかかわる遺品整理は早めにしよう
故人が賃貸に住んでいた場合は遺品整理が終わるまで家賃を払い続ける必要があり、持ち家の場合も建物が老朽化する恐れがあり、できるだけ早めの対応が大切です。
しかし遺品整理は相続人の協力が不可欠となり、予定が合わなかったり遠方に住んでいたりするケースが多いため、早めの対応が難しいことが多くあります。遺品整理業者に依頼すれば遺品の仕分けはもちろん、形見分けや処分、不動産の売却まで行ってくれるので、遺族の負担を最小限に抑えられます。
関西クリーンサービスは関西での遺品整理取扱件数No.1で、遺品取り扱いの専門家である遺品整理士が在籍しているため、安心して遺品整理をお任せいただけます。
見積もりから出張査定まで費用は一切かからないので、遺品整理についてお困りの方は一度ホームページからご相談ください。