遺品整理は自分でもできますが、遺産相続時のトラブルに発展しないよう注意を払って仕分けする必要があります。また1人で最後までやり遂げるのは難しく、相続人や親族の協力が欠かせません。本記事では、遺品整理を自分で行う方法と仕分けの注意点、よくあるトラブルについて解説します。
この記事の監修者 | |
関西クリーンサービス 近藤 嘉貴
遺品整理人歴15年。 |
遺品整理を自分で始める前に
遺品整理を自分で始める前に、始めるタイミングとスケジュールを決めましょう。スムーズに遺品整理に取り掛かれるよう、スケジュールは細かく決めておくのがおすすめです。また、後のトラブルを防止するために、遺品整理をする旨を親族や相続人に伝えることも大切です。
遺品整理をするタイミングとスケジュールを決める
遺品整理は一般的に「四十九日後、諸手続きの完了後、葬儀後、相続前」に行われますが、タイミングに正解はありません。故人とお別れができた時期に取り掛かるとよいでしょう。
自分で遺品整理をすると体力的にも時間的にも負担が大きいため、なるべく短時間で終わらせられるよう、明確なスケジュールを組むことが大切です。いつまでに終わらせるのか、いつ何をやるのかは最低限決めておきたいポイントです。今日はリビングの食器棚、明日は寝室の押し入れ処分を終わらせるなどの計画を立て、作業しましょう。
予想以上に物が多くて作業が遅れることも考えられるため、スケジュールは余裕をもって組むのがおすすめです。
親族、相続人に知らせる
後々のトラブルを避けるためにも、親族や相続人に遺品整理を行うことを知らせてから取り掛かりましょう。遺品整理をする日付や遺品の取り扱い、一緒に進めたいのであればその旨を忘れずに連絡します。必要な持ち物や遺品整理のスケジュールも伝えておくことで、よりスムーズに作業に移れるでしょう。
遺品整理は遺品を処分するだけでなく、家具の解体や取り外し、運搬、清掃などやるべきことがたくさんあるため、なるべく人手を集めて作業するのがおすすめです。
1人で行う場合は、遺品の取り扱いや形見分けについて相続人と話し合いをしないと、誤って処分してしまったり、判断がつかずに作業が進まなかったりしてしまいます。
また、貴重品や売却価値のある品を処分してしまうと遺産相続の際にトラブルに発展してしまうため、なるべく複数人で作業しましょう。
遺品の仕分け。残すものと捨てるもの
遺品整理は大きく、残すものと捨てるものに分けられます。自分で遺品整理する際に遺品の分類に迷ったら、とりあえず保管しておきましょう。故人の大切にしていた品や、形見分けの品であることも考えられるからです。
残すものと捨てるものの処分方法を詳しく見ていきましょう。
遺品整理で残すべきもの
遺品整理で残すべきものは、貴重品・重要書類・形見分けの品・売却価値のある品の4つに分けられます。
残すべき主な遺品は以下の通りです。
・遺言書
・鍵
・通帳
・現金
・印鑑
・スマートフォン
・クレジットカード、キャッシュカード
・身分証明書、マイナンバーカード
・土地の権利書
・有価証券
・年金手帳
・保険証券
・契約書類
・写真、アルバム
・売却価値があるもの(貴金属・着物・美術品・骨董品・酒類・ブランド品など)
・借用書
・ローンの明細
貴金属や美術品は形見分けの品にもなるので、誤って処分しないよう注意しましょう。残すものと捨てるものは段ボールや置く場所で分け、混ざらないよう整理してください。
また、故人がマイナスの資産を抱えている場合は、知らずに相続して後にトラブルを引き起こす可能性もあります。借用書や郵便物からローンの明細などが見つかったら残しておきましょう。
処分すべきかどうか判断できないものは保管しておくことで、後に所有者が現れたり、資産価値が判明して相続分が増えたりすることもあります。
不用品の処分方法
遺品整理で出てきた不用品の処分方法は以下の3つです。
・自治体のゴミ収集
・リサイクルショップ・買取業者
・不用品回収業者
自治体で処分する場合は、可燃ゴミ・不燃ゴミ・粗大ゴミなど自治体の分別に従いましょう。テレビやエアコン、石などは自治体で回収できないため、業者に依頼する必要があります。また粗大ゴミは事前予約が必要な自治体もあるため、地域のルールを把握し、規則通りに処分しましょう。
リサイクルショップ・買取業者は自宅まで出張買取してくれるため、不用品が大量にある場合に便利な方法です。家電や家具などを売却できれば、多少の値が付くこともあります。
不用品回収業者は自治体に出せず、リサイクルショップでも対応できない不用品も運んでくれます。重くて持ち運びができない場合や、不用品が大量にある場合も引き取ってくれるため、相続人の負担は軽くなるでしょう。
また遺品整理業者に依頼すれば不用品の回収だけでなく遺品整理も行ってくれるため、遺品の量が多い方や忙しくて時間が取れない方は一度検討してみてください。
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遺品整理を自分で行う際のありがちなトラブル
遺品整理を自分で行う際のトラブルと解決策を5つ紹介します。
トラブルに遭うと遺品整理に時間がかかるだけでなく、最悪の場合は親族の仲が悪くなることも考えられるため、未然に防ぐ方法を把握しておきましょう。
不用品が想像以上に多かった
遺品整理でよくあるのが、不用品が想像以上に多くて時間がかかるパターンです。故人が実家に暮らしていても、子どものアルバムや服、おもちゃなどが大量に見つかることがあります。一人暮らしであっても、タンスや物置に遺品が隠されていることも多いです。
また認知症などが進行し、不用品をため込んでしまっていることもあるため、生前に物が少なかった方でも安心できません。
不用品の多さに途中で気づいてスケジュールが崩れないよう、あらかじめ室内を確認し、時間と人手を確保することが大切です。遺品整理は1人ですると想像以上に時間がかかり、体力も消耗します。適切な判断ができないと親族とのトラブルにも発展しかねないため、複数人で作業するようにしましょう。
近隣から苦情が来た
騒音やマンションの共用部分の破損により、近隣から苦情が来ることもあります。作業はなるべく日中に行い、廊下などの共用部分には毛布や段ボールで傷つかないように保護しましょう。
また異臭や夜間のゴミ出しを指摘されることもあります。故人が部屋で亡くなった場合は死臭が残っていることがあるため、早めに遺品整理を終わらせて特殊清掃で臭いを除去してもらうのがおすすめです。
ゴミ出しの分別や回収時間などが分からない場合は近隣住民に確認し、迷惑をかけないようにしましょう。
遺品整理の後に住居に住むのであれば近所づきあいも大切になるため、細心の注意を払って作業を進めてください。
ゴミ収集日に合わず必要以上に時間がかかった
ゴミ収集日に間に合わずに住居で保管することになってしまい、必要以上に時間がかかるケースもありがちです。
収集日に間に合わないからと、他府県・自治体の自宅にゴミを持ち帰ることは法令上問題になります。家庭で出たたゴミはその地域で処分しなければならず、他府県・自治体の自宅でゴミを出すと地域外から持ち込んだと判断されてしまうからです。
分別や収集日、粗大ごみの処分法を確認し、遺品整理の最終日にはすべてのゴミを出せるよう計画を立てましょう。
夜間のゴミ出しにも注意しなければなりません。
廃棄物の処理及びに清掃に関する法律第6条の2 3項には「市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に協力しなければならない」と規定があり、市町村の多くは夜間のゴミ出しを禁止しています。
異臭やカラスによる被害、放火のリスクも高まるため、ゴミ捨ては必ず自治体や地域のルールに従ってください。
形見分けの品や大事なものを誤って処分してしまった
自分で遺品整理をすると、形見分けの品や重要書類、貴重品を誤って処分してしまうことがあります。
特に少人数で行うと遺品整理後の確認まで手が回らず、なんとなくで終えてしまう場合もあるでしょう。
再発行できる契約書類ならまだ良いですが、形見分けの品や売却価値のある品を処分してしまうと取り返しがつかず、遺産相続時にトラブルに発展する可能性が高いです。
先述した遺品整理で残すものを参考にしつつ、残すものは紙にまとめるなどして、誤って処分しないよう注意しましょう。
電気、水道が使えない
誰も住まない家で料金が発生するのはもったいないですが、遺品整理にはある程度の時間がかかるので、電気、水道は開通させたままにしましょう。
まったく使用しない場合に発生する料金は基本使用料のみなので、大きな負担になりません。
特に冬季は日照時間が短いため、照明がないと作業時間が大幅に短縮されます。作業のためにライトを持参するのも手間がかかるでしょう。
水は手を洗ったり遺品の汚れを落としたりするのに必須です。
スムーズに遺品整理をして短期間で終わらせるためにも、電気、水道は開通させたままにしておきましょう。
実際の事例、お客様が自分で行うことを断念した理由とは
遺品整理を自分で行う方法を解説しましたが、実際には様々な理由で断念せざるをえなくなり、弊社にご依頼いただくケースがございます。
ここでは実際にご依頼があったご相談を紹介します。
実際の遺品整理の現場から解説
弊社へ寄せられた、東京にお住まいの50代男性からのご依頼を紹介します。
大阪市内のアパートで一人暮らしをされていたお母様がお亡くなりになり、お部屋を明け渡すために遺品整理のご依頼を承りました。
アパートの部屋は1DKでお父様が住み始めて5年も経っていないとのこと。もともとご依頼主様は、一人暮らしの遺品整理はそれほど大変な作業にはならないだろうと見込んで、ご家族の協力を得ながらご自身で遺品整理をするつもりだったそうです。
なぜ、弊社へご依頼されることになったのでしょうか。
依頼主様は有給休暇を取り、奥様と関東に住む弟様の3人で、遺品整理をするためにアパートを訪れてみると、想像を超える量の荷物が溜め込まれていたのです。アパートの解約日も迫る中「これを1日2日で整理できるのだろうか」と思い悩んだ依頼主様は、その場で複数の遺品整理業者に問い合わせの電話を掛けたと仰います。
お父様は、5年ほど前に大阪市内にあったご実家を引き払って引っ越してこられました。依頼主様ご兄弟も家庭を持ち実家を離れ、お母様が先立たれてお父様ひとりの生活になったときに、お母様の遺品整理も兼ねてご実家を整理し、その後このアパートに入居されたのだそうです。
「実家を整理した経験があったので今回もできるだろうと高をくくっていたらとんでもなかった。事前に確認しておくべきだった」と話すご依頼主様。
高齢になると身体能力や判断能力の衰えが進行し、物をためやすくなると言われます。わずか5年とはいえ、整理されていない日々購入したもの、郵便物、新聞などは膨大な量です。
私たちはお問い合わせいただいたその日に見積りに伺い、2日後には大切なご遺品を丁寧に、全て整理させていただくこととなりました。
よくある断念理由ランキング
本来、故人の遺品整理は親族が行うことが理想です。しかしここまで解説してきたように、遺品を整理するには時間や労力の負担がかかります。
ここでは、弊社へご依頼いただいたお客様からお伺いしたご相談をもとに、自分で遺品整理することを断念した理由をランキングで紹介します。
1・実家までの距離が遠い
昔のように多世代が同居することが少なくなった今の時代に最も多い理由です。また最近では賃貸アパートやマンションで一人暮らしをする高齢者が増えています。高齢の居住者が亡くなり、誰も住まなくなった部屋をいつまでも放っておくわけにはいきません。
急いで遺品整理をしたくても何度も遠方の実家へ通ったり、休暇を取ることが難しかったりといった事情はお客様の話からよく聞かれます。
2・あまりにも物が多い
長年住んだお住まいはその年月の分だけご遺品も多いものです。遺品の量が多く残すべき大切な物がどこにあるのかもわからない状態では、大量の遺品をひとつづつ確認するしか方法はなく、分別するだけでも大変な時間がかかります。
また、近年では故人のお住まいがゴミ屋敷状態になっていて自分では手が付けられないというご相談も増えています。
3・重い家具を運ぶことができない
どの家庭にもあるテーブルやタンスなどの重い家具、あるいは冷蔵庫などの電化製品を運ぶにはそれなりに力が必要です。階段や段差がある場所では、力があり運ぶことになれた人が行わなければ危険も伴います。
整理はできても家具や家電を運ぶことができずに断念することもよくある理由です。
4・家族みんなが高齢でどうしようもない
長寿を全うした故人の遺品整理を行うのが高齢の家族しかいないという話もよく聞かれます。仕分け作業、荷物の運搬、あらゆる面で負担が大きいでしょう。
中には業者に任せることに躊躇する方もいらっしゃいますが、優良な遺品整理業者に依頼すれば作業中の立会いが可能です。見守りながら、負担が大きい作業をプロに任せるのことを選択する方も増えています。
遺品整理で残すものに誘導
遺品整理を自分でできないときは専門業者へ
遺品の量が多い、遠方で遺品整理する時間がないなどの方は、遺品整理業者に依頼するのもおすすめです。業者に遺品整理を依頼すると、以下のようなメリットがあります。
・短時間で完了
・ご供養にも対応
・遺品買取、不用品処分も可能
・見積もりから清掃まで立会いなしで完了
・遺品整理士が在籍しているため、親族とのトラブルを防止できる
遺品整理の経験豊富なスタッフや遺品整理士が担当するため、自分で作業するより速く、ミスを最小限に抑えられます。故人が大切にされており、そのまま捨てるのに抵抗がある品の供養も可能。
さらに、見積もりから遺品整理終了までオンラインで行える業者もあるため、時間がない方や人との接触を避けたい方も安心して利用できます。
【まとめ】遺品整理を自分で行うときは計画的に
遺品整理を自分で行うときは、整理する部屋や終了日などの計画を立てて作業しましょう。思っていたより大量の遺品が見つかるケースも多いあるため、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
また、1人で遺品整理すると相続人とのトラブルに発展しかねないため、なるべく予定を合わせて複数人で進めるようにしましょう。どうしても人が集まらない場合や作業する時間がない場合は、遺品整理業者に依頼するのもおすすめです。
関西クリーンサービスなら「遺品整理取り扱い件数 関西No.1」。(2019年3月東京商工リサーチの調査)遺品整理の専門家である遺品整理士が在籍しているため、安心してご依頼いただけます。弁護士や司法書士と提携しているため、遺品整理以外の不動産や相続に関する相談も可能です。
見積もりは無料なので、遺品整理にお困りの方はぜひ一度ご相談ください。