特殊清掃業者は何をするの？どんな人が働いている？専門業者が疑問すべてを解説

特殊清掃業者の仕事に興味があるけど、具体的にどんな仕事内容なのか、資格は必要なのか分からない、という人もいるのではないでしょうか。

 

特殊清掃業者は技術や経験も大事ですが、自分の精神を崩してしまう可能性が考えられる仕事でもあるのです。個々の清掃員は体力的にも精神的にも大変な仕事と言えるでしょう。

 

本記事では、特殊清掃業者の関西クリーンサービスが、特殊清掃の仕事内容・必要な資格・仕事で求められていることを解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

 

この記事の監修者
	関西クリーンサービス 亀澤 文浩 2006年の創業時から遺品整理・不用品回収に携わる。 特殊清掃においては一般的に認知されはじめる以前から孤独死の現場の清掃を経験し、知識・経験・技術力ともに業界トップレベルを自負する。

 

特殊清掃ってなに？遺品整理やハウスクリーニングとの違いは？

特殊清掃は、孤独死や自殺、殺人などが起こった住居の掃除をする仕事です。

 

遺体が発見されるまでの期間にもよりますが、体液や臭気の汚染が起こるため、通常のハウスクリーニングではきれいにできません。特殊清掃の仕事内容を詳しく見ていきましょう。

 

特殊清掃が求められる事案

特殊清掃が求められる事案には次のようなものがあります。

 

• 孤独死・自殺・殺人の起きた部屋
  ゴミが蓄積されているゴミ屋敷
  ペットによる糞尿の臭いがこびりついた部屋
  火災の起きた部屋
  水害のあった部屋　など

 

特殊清掃は、一般的な清掃では落とせない血液や体液が付着した床や壁の清掃をはじめ、害虫の駆除・悪臭の脱臭・火災や水害があった部屋など、さまざまなケースに対応します。

 

特殊清掃の作業

特殊清掃の目的は、入居時と同じ状態に住居や部屋を原状回復させることです。

 

遺体の発見が遅れてしまい時間がかかった場合、床や壁に血液や体液が染み込んで、体液痕ができています。また強烈な悪臭が発生していることも多い傾向です。

 

痕跡をなくすために行う特殊清掃では次のような作業を行います。

 

• 残置物の撤去
• 体液など汚染か所の洗浄
• 汚染か所、火災等で焼けた部分の解体
• 臭いの脱臭
• 害虫駆除
• 内装工事

 

これに加えて、リフォームまで対応する清掃業者もあります。

 

遺品整理やハウスクリーニングとの違い

遺品整理とは、故人の持ち物や財産を整理すること。部屋にある家具や小物を遺すものと手放すものに仕分け、きれいに片づけます。

 

故人が孤独死した場合は遺族が部屋に入ることができなかったり、心情的にもためらったりするケースもあります。

 

そこで、遺族のかわりに遺品整理をします。意向や希望を確認して、遺品整理をおこない貴重品や思い出の品を仕分けして遺族にわたします。

 

ハウスクリーニングは、今住んでいる部屋を快適に住みやすくするためにおこなう清掃で、主に床や水回りをきれいにできます。

 

特殊清掃は、遺品整理とハウスクリーニングのどちらの性質も持ち合わせていますが、孤独死があったり事件があったりした特殊な状況であるため、作業は困難を極めます。つまり一般的な遺品整理やハウスクリーニングとは作業が大きく異なるのです。

 

なぜ今、特殊清掃業者が注目されているのか

近年、特殊清掃の仕事が、YouTubeやマンガの題材、メディアに取り上げられることも増えてきました。なぜ今、特殊清掃業が注目されているのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか？

その背景には以下のような2つのことがあげられます。

 

• 孤独死の増加
  背景にあるさまざまな社会問題

 

それぞれについて、解説します。

 

孤独死の増加

近年、高齢者の孤独死が増加しています。内閣府の発表した、令和３年版内閣府高齢社会白書（全体版）によれば、65歳以上の孤独死は右肩上がりで上昇してます。

 

大都市圏においては2017年から2020年の4年間で孤独死と判断されたご遺体は20％以上も増えているのです。

引用：[プレスリリース]心理的瑕疵物件の在り方とは　～物件再生と人の死の痕跡～

 

新型コロナウイルスが認知されたコロナ禍以降、さまざまな社会背景が要因となって、中高年の自殺も増加し、孤独死が増えています。

 

背景にあるさまざまな社会問題

孤独死の増加の背景には、地域住民との関係が希薄なことや核家族化により、一人暮らし人口が増加していることがあげられます。これは若者に限らず高齢者においても同様です。

 

近隣住民ともあいさつ程度の付き合いしかないという方は多いでしょうは。一人暮らしの人は特に顕著ではないでしょうか。常日頃顔を合わせる知人がいないと、自宅で一人、体調を崩したり怪我をしたりしても、すぐに気づくことができません。

 

 

また孤独死の中には、自殺によって亡くなる事案も増えています。コロナをきっかけに中高年の失業者は増加傾向にあり、経済的な困窮が要因であったり、青少年世代においては、SNSの普及により有害情報に接する機会が増えていることも、自殺の背景としてあげられています。

 

若年層～現役世代の共感を呼ぶその理由

このような社会背景から特殊清掃のニーズは近年特に増し、業種そのものが一般的に知られるようになってきました。そんな中、特殊清掃業者がYouTubeやマンガの題材、メディアに取り上げられているのには理由があります。

 

先述のように凄惨な孤独死の現場は、様々な社会問題を映し出しています。

 

そういった現場に責任を持って立ち向かっていく姿は「誰かの役に立ちたい」「社会貢献をしたい」と思う若年層や現役世代の共感を呼び、心を打たれる人が多いのではないかと考えられます。

 

特殊清掃員に求められること

特殊清掃員に求められるスキルや心構えは4つあります。

 

• 特殊清掃員に必要な資格
  オゾンや薬剤を使った脱臭の経験や技術
  資格・学歴よりメンタルの強さ
  故人や遺族に寄り添える心

 

それぞれについて、解説します。

 

特殊清掃員に必要な資格は？

特殊清掃員になるためには、特別なな資格が必要なのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、特別必要となる資格はありません。ただし、次の資格があると、実際の現場作業において役に立つでしょう。

 

・事件現場特殊清掃士

一般社団法人試験現場清掃センターが特殊清掃に特化した知識や技術を講座で学びます。資格試験に合格すると、事件現場特殊清掃士に認定されます。

 

・遺品整理士

一般社団法人遺品整理士認定協会が、遺品に関する知識や法令を教育し、資格試験に合格すると取得できます。通信教育でおこなわれ資格取得までに2ヶ月程度かかります。

 

・普通自動車運転免許

特殊清掃では残置物の撤去や移動のため、軽トラックを使うことが多々あります。そのため、普通自動車免許を持っていると仕事に活かせるでしょう。

 

その他に、廃棄物・内装解体・供養・臭気判定・感染予防に関する知識と技能があると、さらにいいでしょう。特殊清掃の現場では、経験の積み重ねで身についた知識と技術力が重視されます。

 

オゾンや薬剤を使った脱臭の経験や技術

特殊清掃では、脱臭が重要な作業になることが多々あります。臭いを取り除くために最適な薬剤やオゾン発生器を用いた作業は経験を積まなければ判断が難しいもの。そのため、オゾンや薬剤を使った脱臭の知識や経験が必要となります。

 

特殊清掃に入る現場の強烈な悪臭に対しては、オゾン脱臭機を用いておこなうのが一般的です。完全に脱臭されたかは、臭気計を使って、臭気を数値化し確認しながら作業していきますが、その過程では作業員が様々な試行錯誤をしているのです。

 

完全に脱臭することが求められるため、経験がを積んだ作業員でも最も困難な行程と言えます。

 

資格・学歴よりもメンタルの強さ

特殊清掃には、資格や学歴よりも大切なものがあります。それはメンタルの強さです。

 

特殊清掃は、普段の生活では見ないような凄惨な状況と、悪臭のある中で作業をしなくてはなりません。そのため、動じない強い精神力と体力が必要です。

 

何があっても心が折れない強靭な精神力を持っていないと、特殊清掃に従事することは難しいでしょう。自分の精神力が弱いと感じている人は、特殊清掃に従事すると精神的に大きなダメージを負ってしまうことも考えられるため注意が必要です。

 

故人や遺族に寄り添える心

特殊清掃は孤独死で家族を失った遺族への精神的ケアが必要です。

 

現場では、突然の出来事に言葉を失い動揺する遺族もいます。寄り添って、話しを聴いたり、相談を受けたりする心の余裕も必要になるでしょう。

 

特殊清掃業者を開業するためには

特殊清掃の開業を考える場合、初期投資として、清掃に使うための高性能の機材が必要になります。また、その機材を使いこなせる経験や技術力のある人材が必要です。

 

特殊清掃は、体液や血液で汚染した部屋を取り扱うので、部屋のリフォームをおこなう場合も多いため、「内装仕上げ工事業」の許可を取得しておくのもいいでしょう。

 

トップレベルの技術！関西クリーンサービスは特殊清掃作業をYouTubeで公開しています

関西クリーンサービスは、特殊清掃作業をYouTubeで公開しています。特殊清掃の中には凄惨な現場も多く、起こった現実をリアルに伝える動画には、清掃員への感謝や感動のコメントが寄せられています。

 

故人や依頼者の気持ちに寄り添うサービス

特殊清掃は故人のご遺族からのご依頼が大半を占めます。関西クリーンサービスでは、思いもよらない突然の出来事に心を痛めているご遺族様やご依頼者様に寄り添うサービスを第一に考えています。

 

そうすることで、心の負担が少しでも軽くなれば、と思い誠心誠意を尽くしたサービスを提供しています。

 

「誰かがやらなければならない」仕事

特殊清掃は「誰かがやらなくてはならない」仕事です。「誰かがやらなくてはならない」仕事は、言い換えると「誰もやりたがらない」仕事でもあります。孤独死が増える昨今、特殊清掃は必要な仕事と言えるでしょう。

 

関西クリーンサービスは責任をもってご遺族様、ご依頼主様のご希望に応えるために、教育を受け、経験を積んだ清掃スタッフが特殊清掃に携わっています。

特殊清掃員歴6年。現役作業員へインタビュー

創業16年の関西クリーンサービスで中堅スタッフとして活躍する太田さんに特殊清掃について聞きました。

 

ーー特殊清掃員としての経歴は何年ですか？

6年ですね。

 

ーー前職で特殊清掃や遺品整理の経験があったのでしょうか。

いいえ。全くありませんでした。

 

ーー全くの未経験で、この仕事に就こうと思った理由は？

前職は違う業界で働いていたんですけど、何か違うことをしてみたいなと思ってて。

いろいろネットで求人を見たりしてた時に、片付けとか遺品整理という業種が目についたんです。

それと、テレビでゴミ屋敷特集とか芸能人のゴミ屋敷とかやってるのを観たこともあって、自分もやってみようというか新しいことにチャレンジしてみようと思ったんです。

自分自身が方づけるのが好きだったというのもありますね。

 

ーー実際にやってみてどうでしたか？

もう、いろんな現場を何百件と行ってるんですけど、想像以上でしたね。

テレビでやってた感じはわかってるつもりだったんですけど、実際自分たちで片づけるっていうので現場へ行くとやっぱり大変でした。

 

ーー体力的な部分で想像以上だった？

そういうのもあるし、（片付けでは）不用品の分別が一番大変なんです。

あと、この現場いつ終わるんだろうっていう恐怖感もあります(笑)

作業時間は事前に決まってるので、それまでに終わらせなければ、という。

お客様毎にぜんぜん状況が違うので、ひと現場ひと現場でいろいろと頭も使わないといけない。

 

ーーゴミ屋敷はテレビで見たことがあったということですが、特殊清掃の現場というのは入社して初めて見ましたか？

ほぼ初めてですね。

 

ーー初めて特殊清掃の現場に入った時の印象は覚えていますか？

あまり気持ちが入り込んだらダメだと思うんですけど、けっこう感情移入というか感傷的になってしまってました。

何故こんなことになってしまったんだろう、とか・・・。

今は多少慣れもあるし、しっかり片づけてきれいにしてお客さんに安心していただきたいという方が大きいです。

 

ーー最も印象に残っている特殊清掃の現場はありますか？

始めて行った現場だったんですけど、（孤独死で）亡くなられた方の、お父さまもおじいさまも孤独死だったということを聞いたんです。

しかも2階はゴミ屋敷で。

亡くなられた場所は、布団が三枚くらい重ねて敷いてあって、三枚ともずっしりするくらい体液が染み込んでて、それくらい腐敗が進んでいたという状況の現場でした。

それが私の初めての特殊清掃だったので、どのエピソードも印象的で今もよく覚えています。

 

ーー臭いはどうでしたか？

きつかったです。

 

ーー孤独死の臭いを例えると？

例えば・・・お肉が腐った臭いとか？

イノシシ飼ってた人が、肉を冷凍庫に入れてたんですけど、そこに住まなくなって電気を止めてたんで冷蔵庫の中で腐ってたという現場があって、それはとてつもない臭いでした。孤独死の現場はそこまでではないけど外まで臭ってる感じです。

でも、個人個人で捉え方が全然違うと思うので具体的に例えるのは難しいです。

 

ーー人が亡くなった現場で悪寒を感じたり、怪奇現象に遭ったりしたことはありますか？

私は全く（怪奇現象を）信じないので、ないです。

ただ一回だけ、3階建てのゴミ屋敷で、階段で亡くなられたという案件があって。

作業の時に導線を確保したいので、階段とか通路を先に片づけてて3階と2階の間で作業してたら、3階の方からすごく見られてる気がしたんです。

でも（ゴミで）スタッフも上に上がれないので、誰もいないんです。

思い込んでしまってるのかめちゃくちゃ凝視されてる感がしたことがあります。

その時だけです。

 

ーー他のスタッフがそういう経験をしたと聞いたことはありますか？

あります、あります。

女性スタッフが「居てる」って言うのを聞きました。

何か見えてるんでしょうね。

私は信じていないので。

 

ーーそういう事故物件には住めますか？

リノベーションしてたり周りの雰囲気が明るかったりしたら住めると思います。

でも、住んでみて電気が消えるとか変なことがあったら速攻で出ますね。

ビビりな所もあります(笑)

 

ーー特殊清掃は出来ても、そういう一面もあるんですね。

それは何でかって言ったら、（特殊清掃は）チームのメンバーがいるので。

一人だったら怖いですね。

 

ーー特掃作業員に求められることは何だと思いますか？

チームワークが大事なので、体育会系で元気で声も大きいっていう人は助かるんですけど、現場に来て臭いとか体液が「無理です、見れません」ていう人もいるんです。ご飯が食べれなくなるとか。

反対におとなしい人が全然平気だったりもするので、仕事内容とか作業というより、心情的な所がいちばん大きいと思います。

 

ーー特掃の行程で大変・難しいと思うことは？

個人的には脱臭ですね。

死臭を取ってほしいというときに、この作業をしないといけないという判断とか作業自体も、なかなか難しいです。

臭いってあちこちに広がるし、しかも時間に限りがある中でしないといけないので、そこの判断がしっかりできないとトラブルにもなりますので。

 

ーーお客様の対応で気をつけていることはありますか？

いろんな現場がありますので、お客様が最終的に何を求めているのかっていうところを話します。

特殊清掃だったらまずはお悔みの言葉を伝えて、最後まできっちり丁寧に寄り添いながら作業をさせていただくことを常に考えています。

ゴミ屋敷はゴミ屋敷で、お客様に次の一歩を踏んでもらうために「片づけましょう！」と声掛けをしながら接客します。

ゴミ屋敷を恥ずかしがったり不安だったりする方もいるので、明るく「任せてください！」という感じで接するようにしています。

 

ーーこの仕事をしていてやりがいを感じますか？

片付けが終わったときは達成感を感じます。

でもやっぱり、最終的にはお客様に「関西クリーンサービスにお願いしてよかった」って言ってもらえるのが一番この仕事をしててよかったと思う瞬間です。

中には涙を流す方もいらっしゃいます。

ちょっと怪しい業種と思っている人もいるので、そういう人に認めてもらえるのはありがたいです。

 

ーー一般的に「誰もやりたがらない仕事」と思われてることについてはどう思いますか？

潔癖だったり、心情的に無理な人はいますけど、正直言うと誰でもできるし、やりがいがあるのでそんなことはないと思ってます。

嫌だと思うのは夏の暑い時くらいです。

お客様の家に、赤の他人の私たちが上がって作業をして、涙を流して「ありがとう」と言っていただける仕事はそうそうないですよね。

もし、少しでも関心のある人がいれば、ぜひ一緒に仕事をしたいですね。

 

インタビューを受けたスタッフについてはスタッフ紹介もぜひご覧ください。
関西クリーンサービス スタッフ紹介：特殊清掃員 太田春哉

【まとめ】

今回は特殊清掃について紹介しました。特殊清掃の仕事は、体力面・精神面に大きな負担がかかる仕事です。普段の生活では目にしないような事故現場に入ることもあるでしょう。

 

そのため、技術や知識はもちろん、強靭なメンタルが求められます。また、遺族に寄り添ったケアを実践できる心の余裕も必要と言えるでしょう。

 

関西クリーンサービスでは、経験や技術のある特殊清掃員がサービスを提供しています。特殊清掃は、遺体の痕跡を完全になくす仕事です。

 

大切にしているのは故人や遺族の気持ちに寄り添うサービスを提供すること。特殊清掃は「誰もがやりたくない」仕事ですが、「誰かがやらなくてはならない」仕事で社会的貢献度の高い仕事です。

 

特殊清掃に興味がある方は、一度関西クリーンサービスにご相談ください。YouTube動画でも雰囲気が伝わるとおもいますので、ぜひ参考にしてください。