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ご家族が亡くなったときに不動産を相続することになるケースは少なくありません。
不動産の相続は、相続人にとってプラスになることもありますが、立地が悪いなどの理由から、かえってマイナスになることもあります。そのため、不動産を相続放棄したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、不動産を相続放棄するにはどうすれば良いか、具体的な方法や手順などを詳しく解説していきます。また、不動産を相続放棄する際の注意点についても取り上げるので、不動産の相続でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
そもそも相続放棄とは?
そもそも相続放棄とは、故人(被相続人)の遺産の相続権を放棄することを意味します。
注意したいのが、相続放棄をすると不動産以外の遺産もすべて相続できなくなる点です。不動産だけを相続放棄するようなことはできません。
相続の方法には相続放棄の他に「単純承認」と「限定承認」もあります。
単純承認とは、故人の遺産をすべて相続することを意味します。遺産にはプラスのものだけでなく、借金などマイナスのものもあるので、故人の財産状況を確認してから選択することが重要です。
限定承認とは、故人の遺産の一部だけを相続することを意味します。その際、プラスの財産額を限度として、それを超えないだけのマイナスの財産も引き継ぎます。そのため、不動産を省いて現金だけを限定承認するなど、任意に決めることはできないので注意しましょう。
不動産を相続放棄するときの流れ
遺産相続が初めての経験で、具体的な流れが分からずに困っている方も多いでしょう。ここでは、不動産を相続放棄する際の主な流れについて、詳しく確認していきます。
戸籍や住民票など必要な書類を揃える
相続放棄をするために、まずは必要書類を揃える必要があります。具体的には、相続放棄申述書のほかに、故人(被相続人)の住民票の除票または戸籍の附票、相続放棄する人の戸籍謄本が最低限必要となります。
以下は、相続放棄する人が配偶者または子どもの場合に必要な書類です。
- 相続放棄の申述書
- 被相続人(故人)の住民票除票又は戸籍附票
- 相続放棄する人の戸籍謄本
- 被相続人(故人)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 収入印紙800円分(申述人1人につき)
- 家庭裁判所との連絡用郵便切手(申述先の家庭裁判所により異なる)
必要書類は、故人と相続放棄する方との関係によって変わってくるので、詳細は家庭裁判所に確認するか、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。
相続放棄申述書を書く
(引用:裁判所「相続の放棄の申述」)
必要書類を揃えたら、家庭裁判所に提出する相続放棄申述書を書きます。
申述書には、申述人(相続放棄する人)の氏名や本籍、住所、故人との関係、相続放棄する理由などを記入します。また、申述人が未成年の場合は、その他に法定代理人についての記入が必要になります。
家庭裁判所に書類一式を提出する
必要書類が揃い、相続放棄申述書を記入したら、一式を家庭裁判所に提出します。提出する家庭裁判所は、基本的に故人が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所です。
また、異なる順位の相続人が、同時に相続放棄申述書を提出することはできないので注意してください。
民法で定められた法定相続人の順位は子ども・親・兄弟姉妹の順になります。
自分より先の順位の相続人がいて相続放棄することをわかっている場合は、その方の手続きが完了するのを待つようにしましょう。
照会書の確認・返送をする
家庭裁判所に書類一式を提出すると、1~2週間ほどで照会書が送られてきます。
照会書は、相続放棄をしたかどうかの最終的な意思確認をするためのものです。なかには、相続放棄の意味を十分に理解していなかったり、本人の意思に反して相続放棄を強制させられていたりするケースがあります。照会書のやり取りは、そのような事態に陥ることを防止するための策でもあります。
内容をしっかり確認し、必要事項に回答したうえで、問題なければ家庭裁判所に返送します。
相続放棄申述受理通知書を受け取る
照会書を家庭裁判所に返送し、内容に問題がなければ、後日「相続放棄申述受理通知書」という書類が郵送されてきます。無事に届けば、この時点で相続放棄の手続きはすべて完了となります。
相続放棄申述受理通知書は、複数枚を請求することも可能です。次順位の相続人が相続登記などの手続きで使うこともあるので、余裕をもった枚数を請求しておくと良いでしょう。
土地や不動産の相続放棄をする際の注意点
ここでは、土地や不動産の相続放棄をする際、注意しておくべきポイントを5つ紹介します。
これから相続放棄を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
注意点①:相続放棄ができるのは3ヶ月以内
相続放棄ができるのは、相続が発生することを知ってから3ヶ月以内とタイムリミットがある点に注意しましょう。
3ヶ月が経過すると、その時点で単純承認したことになり、土地や不動産、そして借金などのマイナスの遺産がある場合も、相続せざるを得なくなります。
そのため、相続放棄をする場合は、なるべく早く手続きに動き出すことが大切です。また、故人の財産状況がわからず相続放棄するか悩んでいる場合は、早めに調査を進めるようにしましょう。
注意点②:相続放棄が無効になるケースがある
相続放棄をする人が遺産を処分すると、相続する意思があるとみなされ、相続放棄が無効になる可能性があります。具体的には、主に次のようなケースがあげられます。
- 相続財産を処分した
- 相続財産を隠匿した
- 相続財産を消費する
- 相続財産の名義を自分名義へ変える
- 相続財産を使って、被相続人が負っていた債務を支払う
- 遺産分割協議を行う
- 被相続人の債権について、債務者を取り立てて支払いを受ける
- 税金や年金等の還付金を受け取る
- 相続放棄の期限を過ぎていた
注意点②:土地・不動産だけの相続放棄はできない
相続放棄をする際は、土地・不動産だけを選んで放棄することはできないので注意しましょう。
相続するかしないかは、基本的に全部かゼロかの2択になります。先述の通り、負債を被らないようにする「限定承認」もありますが、自分で任意に相続する対象を選べるわけではありません。
そのため、土地・不動産以外の財産もある場合は、相続することと相続放棄することのどちらが自分にとってメリットが大きいか、吟味して選ぶようにしましょう。
注意点③:他の相続人とトラブルになるリスクを考慮する
自分以外に相続人がいる場合、相続放棄することで、他の相続人とトラブルになる可能性があるので注意しましょう。
たとえば、自分が相続放棄をした結果、土地・不動産を含む相続権が次順位の相続人に移ります。その際、相手が相続放棄の手続きなどを知らず、3ヶ月が過ぎて自動的に単純承認になり、不本意に相続したことでトラブルになるなどが考えられます。
トラブルを未然に回避するためにも、相続放棄する場合は事前に他の相続人にその旨を知らせ、可能であれば相続放棄の方法なども説明しておくと良いでしょう。
注意点④:現に占有している家は保存義務が残る
従来の民法では、相続人が1人もいない場合、または全員が相続放棄をした場合、相続放棄したとしても不動産の管理義務が残りました。しかし、2023年4月施行の改正民法によって、現に占有していない不動産であれば、相続放棄後に管理・保存する義務はなくなりました。
一方で、現に占有している場合は、たとえ相続放棄したとしても、その不動産の保存義務は相続財産清算人が選任されるまで占有者にありますので注意しましょう。
保存義務には、不動産の劣化や損壊などを防ぐために維持管理したり、必要であれば修繕を実施したりすることが含まれます。
「現に占有している」とは、故人の生前から同居していて未だに住んでいたり、大量の荷物などを置いて物置にしたりしているケースが該当します。今後、改正民法の解釈が変わることも考えられるので、不安な場合は弁護士などの専門家に相談してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、不動産を相続放棄する際の流れや、その際の注意点などについて、詳しく確認してきました。
不動産を含め、故人の遺産は相続を知ってから3ヶ月以内であれば相続放棄が可能です。しかし、その場合は他の遺産も相続できなくなります。また、居住しているなど「現に占有している」と判断される不動産の場合は、相続放棄しても保存義務が残るので注意しましょう。
今回ご紹介したことを参考に、不動産を相続するか相続放棄するか、結果的にどちらが良いかしっかり吟味し、後悔のない選択をしましょう。
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