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身内が孤独死した場合、遺族にとっては悲しみと同時に、相続の問題に直面することがあります。負債や孤独死による清掃の負担が大きい場合、相続放棄を検討するケースも少なくありません。
この記事では、身内の孤独死で相続放棄するケース、、相続放棄を検討する際に確認すべきこと、手続きの流れなどについて詳しく解説します。
万が一の時に冷静に対応できるよう、参考にしてください。
身内の孤独死で相続放棄する前に確認するべきこと
身内が孤独死した際に、相続放棄するかどうかを判断する前に、以下の調査をしておくことが重要です。
- 自分以外の相続人の調査
- 預金などプラスの財産の調査
- 借金などマイナスの財産の調査
それぞれの詳細について、順に確認していきましょう。
自分以外の相続人の調査
相続放棄をすると、財産や債務の相続権が次の順位の相続人へと移ります。相続権は、故人(被相続人)の配偶者から順に、子(孫など直系卑属)、父母(祖父母など直系尊属)、兄弟姉妹(甥・姪)と定められています。
相続放棄は個人の自由ですが、次の相続人に影響を与える可能性があるため、事前に伝えておくとトラブルに繋がるリスクを抑えられます。
自分以外の相続人を調査するには、故人の戸籍謄本を取り寄せて、兄弟や両親などの家族関係や婚姻歴を確認します。
預金などプラスの財産の調査
相続放棄をすると、預貯金や不動産などプラスの財産も含め、すべて相続放棄することになります。
相続放棄は基本的に撤回できないため、後から多大な財産の存在に気づいても相続できません。そのため、故人がどのような財産を持っていたのかを事前に確認しましょう。
たとえば通帳やキャッシュカード、不動産登記簿謄本のほか、郵送された書類などが手がかりになります。証券会社からの通知や固定資産税の納付書などが見つかれば問い合わせてみましょう。
借金などのマイナスの財産の調査
相続というとプラスのイメージを持つ方が多いですが、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も相続します。借金や未払いローンなどの負債を相続すると、支払い義務が発生するため、事前に故人の借金状況などを調査しておくことが重要です。
この場合も、銀行口座の明細や郵便物が大きな手掛かりになります。毎月の引き落とし履歴や、クレジットカード会社やローン会社、消費者金融などの通知が無いか確認しましょう。
身内の孤独死で相続放棄を検討するケース
身内が孤独死したとき、以下のような状況では、相続放棄を検討するケースが多く見られます。
- 借金などのマイナスの財産が多い
- 孤独死現場の原状回復費用がかかる
- 相続財産の状況が不明
それぞれの状況について、順に詳細を確認していきましょう。
借金などのマイナスの財産が多い
故人が借金や未払いのローンを多く抱えていた場合、相続するとその負担を背負うことになります。しかし、相続放棄すれば負債の支払い義務を免れます。
相続放棄はプラスの財産がある場合でも引き継ぐことはできません。
そのため、相続放棄を検討する際は、プラスとマイナスそれぞれの財産をよく確認し、必要になら弁護士などの専門家に相談するといいでしょう。
孤独死現場の原状回復費用がかかる
身内で孤独死が発生した場合、その現場を清掃し、原状回復しなければなりません。孤独死の清掃は、特殊清掃という特別な処置が必要とされ、高額な費用がかかることがあります。相続財産が少ない場合は、このような費用が負担となり、相続放棄を検討するケースが多くなります。
賃貸物件では、汚損された部屋の特殊清掃は基本的に相続人が負担します。
さらに、持ち家では、孤独死が発生した物件は心理的瑕疵物件と見なされ、不動産価値が大幅に下がる可能性があります。
持ち家を売却しようとしても心理的瑕疵の影響で買い手が見つかりにくく、想定以上に維持費がかかってしまうことも。そのため、不動産の価値や手放しやすさを視野に入れたうえで、相続放棄をするかどうか検討するようにしましょう。
相続財産の状況が不明
孤独死した故人が身内といえど、家族と疎遠であった場合、負債があるかどうかも把握できないことがあります。
そのような場合、リスクを避けるために相続放棄を検討することも少なくありません。
相続するかどうかを決めるには、財産状況の調査が不可欠ですが、疎遠だった故人の財産調査は困難になることが多々あります。財産状況が不明なまま相続を選択すると、後になって負債で苦しむ可能性があるため、自己防衛手段として、相続放棄を選択する方が一定数いるのです。
こうした状況では、弁護士や司法書士、税理士などの専門家に財産調査を依頼することもできます。それでも財産の内容が確認が難しい場合には、相続放棄を選択肢として検討すると良いでしょう。
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相続放棄の手続きの流れ
相続放棄することに決めたら、家庭裁判所で手続きを進める必要があります。手続きの具体的な手順は、以下の通りです。
- 必要書類の準備
- 書類の提出と審査
- 相続放棄申述受理通知書の受領
まず、家庭裁判所に申述するために、以下の書類を準備します。
- 相続放棄申述書
- 故人(被相続人)の戸籍謄本
- 申述人の戸籍謄本
- その他の関連書類(借金の明細書、不動産の登記簿謄本など)
必要書類が揃ったら、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、各書類を提出します。郵送でも手続き可能ですが、提出前に裁判所に問い合わせ、書類の不備がないか確認するとスムーズです。
提出後、家庭裁判所で審査が行われます。
審査が無事に完了すると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。この通知書は、正式に相続放棄が成立したことを証明するものです。
相続放棄申述受理通知書は後日、関連手続きやトラブル対応の際に必要となる場合があるため、大切に保管してください。
身内の孤独死で相続放棄する際の注意点

身内が孤独死し、相続放棄を選択する場合は、以下の3点に注意が必要です。
- 相続放棄には期限がある
- 遺品整理などに参加してはいけない
- 連帯保証人になっている場合は原状回復費用を請求される
各注意点の詳細について、順に確認していきましょう。
相続放棄には期限がある
相続放棄は、相続開始(故人の死亡を知った日)を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。この期間を過ぎると、自動的に相続を受け入れた(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなります。
期限内に手続きを終えるためには、財産調査を迅速に行い、相続するか放棄するかを早めに判断することが重要です。ただし、3ヶ月以内に調査が間に合わない場合は、家庭裁判所に申立てを行うことで、期限を延長してもらえる場合もあります。
遺品整理などに参加してはいけない
相続放棄するのであれば、故人の遺品整理や財産整理などには参加しないように注意しましょう。
遺品は故人の遺産の一部なので、相続放棄をしたとしても、遺品整理や財産整理に関与すると、それが「相続を承認した」とみなされる可能性があります。その場合、相続放棄が無効となり、財産を相続せざるを得なくなります。
たとえば、故人の家財道具を整理して処分したり、不動産の賃貸契約を解約する手続きを行ったりすると、相続人としての権利行使と見なされる場合があります。
それでも遺品整理などをしなければならない事情がある場合は、専門家に相談したうえで慎重に行動するようにしましょう。
連帯保証人になっている場合は原状回復費用を請求される
相続放棄したとしても、故人の賃貸契約において連帯保証人になっている場合は、原状回復費用を請求されることがあります。
連帯保証とは、賃貸などの契約を交わすうえで、契約者が契約に違反したり未払いがあったりした際に、その責任を保証人が本人に代わって負担する保証形態です。そのため、孤独死によって賃貸物件が著しく汚損された場合、原状回復のための費用を請求される可能性があります。また、滞納分の家賃や契約違反の違反金などを請求されることもあります。
特に、2020年の民法改正以前の契約では、保証人の支払う金額に上限が設定されていない場合があり、費用負担が大きくなる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
今回は、身内の孤独死で相続放棄を検討する前にするべきことや、相続放棄が検討されるケースの詳細、手続きの流れなどについて、詳しく確認してきました。
身内が孤独死した場合、相続放棄をすれば、借金などのマイナスの財産を相続せずに済みます。しかし、相続放棄には「相続開始を知ってから3ヶ月以内」と期限があるので、期限内に財産状況を調査し、判断することが不可欠です。その際、遺品整理に参加することはなるべく控え、連帯保証人としての責任が残ることには注意しましょう。
相続放棄を検討する際は、今回の内容を参考にし、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しながら、冷静に対処していきましょう。
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この記事の執筆者
関西クリーンサービス
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