20代の弟は、なぜ自ら命を絶ったのか?特殊清掃現場のリアル

作業カルテ

今回の現場は、とある集合住宅の一室。故人は20代の男性で、自ら命を絶たれました。

若者はなぜ、死を選んでしまったのか。

お部屋の中に残された痕跡から見える、故人のお人柄。そして、残された遺品に記されていたものとは――……

この記事の執筆者

関西クリーンサービス 編集部

大阪・京都・奈良を中心に近畿一円でゴミ屋敷片付けや遺品整理、特殊清掃のサービスを提供。遺品整理においては受注件数5年連続関西No.1(※)の実績を誇り、片付けのプロとして日々さまざまなご依頼にお応えしています。

※東京商工リサーチ2019年~2023年「遺品整理業」調査において

関西クリーンサービス 編集部

自死を選んだ20代男性。姉が語る生前の姿

依頼者様

夏真っ盛りの7月末月、弊社に一件のご依頼がありました。

ご依頼主は故人のお姉さま。離れて暮らす弟が自死したため、遺品整理と特殊清掃をお願いしたいとのことでした。

故人である弟さんとは仲がよく、連絡を取り合うことも多かったそうです。

なぜ自死したのか、何を思い詰めていたのか。お姉さまは一切把握しておらず、遺体が腐敗していたため詳細な死因も明らかになっていません。

お姉さまは声を詰まらせながら、こう語ってくださいました。

故人のお姉さま
(ご依頼主である、故人のお姉さま)

「人と馴染むのがちょっと難しい性格をしていたので、(人間関係で)いろいろ辛いことがあったのかなと思います。亡くなる数ヶ月前に『今の仕事を辞めるかもしれない』と電話がありました。その時に、もっとちゃんと話を聞いてあげればよかった」

原因不明の、弟の自死。

特殊清掃を行うなかで、何か手掛かりになるようなものを見つけてほしいと、涙ながらに仰いました。

亡くなられた現場の様子

室内へ入る清掃員

2022年8月5日、亀澤代表を筆頭に弊社スタッフが現場へお伺いしました。玄関のドアを開けると、死臭がもわっと漂ってきます。真夏の暑さも相まって、かなり強烈な臭いです。

体液と虫にまみれたクローゼット

故人は、居間に入ってすぐのクローゼットで亡くなられました。

亡くなられた場所

クローゼットの外側のドアノブを使い、首を吊ったと思われます。床やその周辺には、体液がかなり浸透していました。

クローゼットに遺る血痕

体液に汚染されたフローリングには、ハエのサナギがいくつも落ちています。床に無造作に置かれていた毛布にも、大量のサナギがくっついている状態でした。

ハエのさなぎ

遺体発見時には死後4日しか経過していなかったものの、この年の夏はかなり暑かったため、腐敗する速度が早かったのでしょう。

特殊清掃のプロである亀澤代表も、「たった4日でここまでの状態になるのは珍しい。こんなことあるんですね。僕もなかなか経験したことないです」と語りました。

クローゼットの近くには、1本の包丁が放置されていました。当初は包丁で自死しようとしたのかもしれません。

床には、故人が飼っておられた猫の足跡(※ご遺体からの体液によるもの)も付着しています。この足跡は、室内のあちらこちらに点々と残っていました。

猫の足跡

飼い主の死後、ご遺体に寄り添い、餌を探して歩き回っていたのでしょうか。

生きていた頃のままのキッチン

お部屋の中は全体的に整理されていましたが、キッチンには使用済みと思われる食器や調理器具がそのまま残されていました。まるでつい先ほどまで、人が生活していた雰囲気があります。

キッチンの様子

キッチンのテーブルには、傷病手当の申請書類が置かれていました。

書類には、「うつ病」の診断と、不眠や脱力感、無気力感といった症状が書き込まれています。お姉さまいわく、故人は亡くなる5年ほど前に離婚を経験。その後うつの症状が出始め、仕事も転職を繰り返していたそうです。

寝室に散らばった精神安定剤

寝室に入ると、椅子の上に精神安定剤や睡眠薬が散らばっていました。自死される方の現場では、こういったお薬が大量に見つかることも少なくありません。

精神安定剤
(自死の直前に薬を多量摂取した可能性も考えられる)

椅子の周りには未開封の郵便物が散乱しており、ベランダには洗濯物が干されたままでした。

散乱した郵便物

亡くなる直前までの生きた痕跡が、そこかしこに溢れています。

ベランダの洗濯物

清掃作業の様子

玄関で合掌をする作業員
(作業前にお線香を焚いて合掌)

臭いが原因で近隣からクレームがきていたため、現場の状況を把握後、さっそく作業に入らせていただきました。

ご依頼主のお姉さまは、ショックのあまり部屋に一歩も入っていないとのこと。遺品整理に関して、「思い出の品や写真などがあれば全部残しておいてほしい」「弟は株をたくさん持っていたので、それに関わる書類を取り分けておいてほしい」とご希望されました。

特殊清掃を開始

●部屋全体に薬剤を噴霧し、ウイルス等を除去。

消毒剤を噴霧

体液が付着した部分は、特に念入りに薬剤を吹きかけます。

噴霧器で体液に薬剤を吹きかける

●ウイルスを不活性化させる薬剤を散布。

粉末除菌剤を散布

先に霧状の薬剤で湿らせることで、粉状の薬品が圧着しやすくなります。

●スクレーバーを使い、体液を薬剤ごと絡め取る。

スクレーパーで体液ごと絡めとる

体液が床に浸透している影響で、床材(※クッションフロア)が傷んでいます。人の脂でフローリングはべとべとです。傷んでいる部分をめくってみると、たくさんの虫が脂に群がっていました。

クッションフロアの下にウジ虫が群がっていた

●ほうきとちりとりで薬剤を取り除き、スプレー状の薬品をかけて、ブラシでしっかり洗浄。

薬品をかけてブラシで洗浄

●布でしっかりとふきあげる。

拭き上げ

いつも以上に真剣な表情で取り組む亀澤代表の姿を見て、スタッフも「負けられへん」と力強く床を磨いていきました。

遺品整理中に手記を発見

マラソン大会のメダル
(テーブルに置かれていたマラソン大会のメダル。遺品の中にはバイクのヘルメットもあり、故人がアウトドアやスポーツを好んでいたと伺える)

遺品整理を進めていると、株式関係の書類や、不動産売買に関する重要事項説明書などが出てきました。

不動産の書類

生前にどこかの不動産を売買されていたのでしょう。引き出しの中にあった郵便物や金庫など、資産にまつわるような物はすべて、お姉さまにお返しすべくまとめていきます。

部屋の中をくまなく片付けていくも、故人が自死した手がかりはいっこうに見つかりません。

作業を黙々と進めていくと、仏壇の引き出しから1冊の手帳を発見しました。

引き出しから見つかった手記

「姉さんへ」と書かれたページには、故人と思われる写真が挟まっています。とても重要な物と判断し、清掃終了後にお姉さまにお渡しすることとなりました。

●清掃後のお部屋をご供養。

お部屋のご供養

すべての清掃・遺品整理が完了しました。

亀澤代表は僧侶の資格を持っているため、毎回最後にご供養させていただいております。お経を上げる亀澤代表の顔には、汗とも涙ともとれる水滴が浮かんでいました。

特殊清掃の概要

地域大阪
作業人数4名
作業時間約7時間
作業内容遺品整理、消毒、汚染か所の洗浄・消毒
使用車両2トントラック1台
パッカー車1台
作業料金100,000円(撮影協力値引き含む)

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特殊清掃の作業は家財道具の片付け体液の洗浄だけでなく、脱臭、内装の撤去・やり替えなど多岐にわたります。関西クリーンサービスではこれらの作業を一貫して対応いたします。業界トップクラスの清掃、オゾン脱臭技術で、お部屋を原状回復。リフォーム業者様と提携されている場合の作業の範囲もお気軽にご相談ください。

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手記に綴られていた最後の言葉

依頼者様

清掃後のお部屋にて、お姉さまに作業完了のご報告と、遺品の引き渡しを行いました。作業前は「部屋に入れない」と仰っていたお姉さまでしたが、作業後にお声がけすると、躊躇いつつも「中に入って確認します」と入室されました。

先ほど見つかった手帳と写真を、亀澤代表の手から直接お渡しします。

「読ませていただいて大丈夫ですか?」と、その場で手帳を開いたお姉さま。書かれていた文字を見た途端に、声を上げて泣き崩れていらっしゃいました。

手記の内容

『うまくいかないね世の中は。行くも戻るも同じ世の中。姉さん、いつまでも、お元気で』

手記はやはり、遺書でした。

手記の内容

『自分の口で伝えることができたら良かったけど、何か照れくさくって、どうしても言えそうにない。姉さん、いつも助けてくれて、ありがとう』

手記には、ご自身の気持ちや姉への感謝、自分がいなくなったあとの猫の世話についてなどが綴られています。

お姉さまは手記を読みながら、「辛かったことに気付いてあげられなかった」と後悔を吐露されました。

遺書を読むご依頼者様

「最後に電話したとき、ちょっとおかしいなって思ったんですけど……。こんなに悩んでいたのだったら、なんで言ってくれへんかったんかな。可愛がっていた飼い猫を置いていくほど思い詰めていたんだと、何でもうちょっと早く気付いてあげられなかったのかな」

遺書に挟まっていた猫の写真
(飼い猫はもともと野良で、公園で弱っているところを故人が拾い、熱心に育てていた。ご遺体発見後、お姉さまが保護)

嗚咽を上げながら、「でも……」とお姉さまは言葉を続けます。

「今回ご依頼して、大切にいろいろ供養してくださったので、弟も喜んでいると思います。ありがとうございました」

自ら命を絶つ前に、SOSを

現代社会では、40秒に1人が命を絶っていると言われています。あなたの大切な人、そしてあなた自身は大丈夫でしょうか。辛い気持ちで無理をしていませんか?

今、「生きているのがつらい」と思い詰め、孤独感に苛まれている方は、立ち止まり心を休めることを恐れないでください。そして、「迷惑じゃないだろうか」などと考えず、自分が生き延びるために人を頼ってください。

特殊清掃・遺品整理は、思いもよらない突然の出来事に心を痛めているご遺族さま・ご依頼者さまに寄り添う仕事です。負担が少しでも軽くなれば、という思いから、誠心誠意を尽くして心の整理のお手伝いをさせていただきます。

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地域

大阪

作業人数

4名

作業時間

約7時間

作業内容

遺品整理、消毒、汚染か所の洗浄・消毒

使用車両

2トントラック1台、パッカー車1台

作業料金

100,000円(撮影協力値引き含む)